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サカヲタ。
小学生からサッカーを愛して今に至る。
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 カメルーン戦に勝った後、サッカー好きの友人が言っていた。「思っていた以上に2006年を引きずっていたんだね」と。たぶんそれは日本全国のサッカー好き共通の思いではなかったか。ケーヒルがロングスローのこぼれ球をコロコロと押しこむ姿を、その後のポストに当てながらねじ込んだシュートを、ジュニーニョとロナウドの強烈なミドルを、僕は今でも思い出すことが出来る。思い出したくないシーンは、えてしてハッキリと記憶しているものだ。

 あれ以降の4年間は、もしかしたらサッカーファンにしてみればJリーグ始まって以来の苦しい4年間だったのかもしれない。日本国民は監督が世界でも屈指の名将オシムになろうと、日本代表に高い興味を示すことはなくなってしまった。知名度の高かった黄金世代が、中田英寿をはじめいなくなっていったこともそれに拍車をかけた。「日本人にサッカーなんて無理なんだよ」僕の周りのサッカーファンじゃない人には、そんなことを言う人もいた。

知名度が低い選手を集めながらも好ゲームを見せ続け、「日本人らしいサッカー」が形作られそうになった矢先に、オシムは倒れた。監督は、再登板の岡田武史になった。

 ただでさえ06年より知名度の低い選手たちのために期待度が低かった日本代表は、監督が変わったことでさらに期待度が低くなった。岡田監督もまた、「日本人にしか出来ないサッカー」をかかげ、「接近・連続・展開」という標語をかかげたりした。必ずしもうまくいったことばかりではなく、格下と思われるバーレーンに2回も負けたりした。

一時期はチリやベルギーに完勝し、W杯出場権を勝ちとるなど、良い形を作り上げたようにも思えた岡田ジャパンだったが、2010年になり、その良い形は一度もでないままだった。韓国に2回も負け、しかもいずれも力の差を見せつけられるような負け方だった。
「3連敗確実」「韓国相手にもこんな負けるのにオランダやカメルーン相手に勝てるわけがない」そんな声が大半だった。2006年。期待していた日本代表が惨敗を喫したことを日本人は思い出した。そして多くの人が自らの心の傷を浅くするために。期待するのをやめていた。

 崩壊してもおかしくなかったチームを崩壊させなかったのは、2006年の経験だったと思う。もう、良いサッカーとか、きれいに崩すとか、そんなことを言っている場合じゃなくなって、その時、目標がたったひとつになった。「懸命に戦って、勝つ」こと。日本代表チームは、おそらくこれまでにないくらいに意思が統一された。その統一された意思が、グループリーグで全て発揮された。直前に大きく変わった戦術や、慣れないポジションや、レギュラーとサブの入れ替えは、おそらく「戦って勝つ」というチームの思いの前に、全てが枝葉末節になったのだろう。そしてSAMURAI BLUEは、これまでの日本のW杯史で見せたことのないようなシビアな戦いを強いてカメルーンに勝利し、オランダに惜敗し、岡田ジャパン以降で最高の戦いをしてデンマークに快勝し、そして武運つたなく、パラグアイの前に散った。

 もちろん、一つ一つの場面では誰の働きがどうだったとか、戦術的にどうだったとか、そういう話は出来るだろう。それについてはきちんと分析されるべきである。しかしそんなことより、サッカーというスポーツで一番必要な物はなんなのか、を彼らは見せてくれたと思う。それはおそらく、チームワークとかそんなありきたりの言葉で表現できるものではない、しかし南アフリカW杯の日本代表の戦いを見た人は、間違いなくその「何か」を感じることが出来たと思う。そして、今大会の他のチームを見たときに、その「何か」を感じられるチームは実はそう多くは無いとも感じる。少なくとも、日本代表ほど強くその存在を感じさせたチームは、片手で数えられるほどだろう。

 2010年の南アフリカで、日本サッカーが何かを得て、次への糧とするならば、現実的な戦術やPK戦の厳しさなどではなく、その「ありきたりな言葉では表せない何か」ではないだろうか。岡田監督はデンマーク戦後「我々はサッカーがチームスポーツであると証明しようとやっている」と言っていた。きっと、その「何か」は日本代表がこの4年間目指してきた「日本人らしいサッカー」の、かけがえのない一つの軸なのだと思う。日本のサッカーがある限り、それは継続されなければならない。
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