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小学生からサッカーを愛して今に至る。
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カメルーン戦に勝った後、サッカー好きの友人が言っていた。「思っていた以上に2006年を引きずっていたんだね」と。たぶんそれは日本全国のサッカー好き共通の思いではなかったか。ケーヒルがロングスローのこぼれ球をコロコロと押しこむ姿を、その後のポストに当てながらねじ込んだシュートを、ジュニーニョとロナウドの強烈なミドルを、僕は今でも思い出すことが出来る。思い出したくないシーンは、えてしてハッキリと記憶しているものだ。 あれ以降の4年間は、もしかしたらサッカーファンにしてみればJリーグ始まって以来の苦しい4年間だったのかもしれない。日本国民は監督が世界でも屈指の名将オシムになろうと、日本代表に高い興味を示すことはなくなってしまった。知名度の高かった黄金世代が、中田英寿をはじめいなくなっていったこともそれに拍車をかけた。「日本人にサッカーなんて無理なんだよ」僕の周りのサッカーファンじゃない人には、そんなことを言う人もいた。 知名度が低い選手を集めながらも好ゲームを見せ続け、「日本人らしいサッカー」が形作られそうになった矢先に、オシムは倒れた。監督は、再登板の岡田武史になった。 ただでさえ06年より知名度の低い選手たちのために期待度が低かった日本代表は、監督が変わったことでさらに期待度が低くなった。岡田監督もまた、「日本人にしか出来ないサッカー」をかかげ、「接近・連続・展開」という標語をかかげたりした。必ずしもうまくいったことばかりではなく、格下と思われるバーレーンに2回も負けたりした。 一時期はチリやベルギーに完勝し、W杯出場権を勝ちとるなど、良い形を作り上げたようにも思えた岡田ジャパンだったが、2010年になり、その良い形は一度もでないままだった。韓国に2回も負け、しかもいずれも力の差を見せつけられるような負け方だった。 「3連敗確実」「韓国相手にもこんな負けるのにオランダやカメルーン相手に勝てるわけがない」そんな声が大半だった。2006年。期待していた日本代表が惨敗を喫したことを日本人は思い出した。そして多くの人が自らの心の傷を浅くするために。期待するのをやめていた。 崩壊してもおかしくなかったチームを崩壊させなかったのは、2006年の経験だったと思う。もう、良いサッカーとか、きれいに崩すとか、そんなことを言っている場合じゃなくなって、その時、目標がたったひとつになった。「懸命に戦って、勝つ」こと。日本代表チームは、おそらくこれまでにないくらいに意思が統一された。その統一された意思が、グループリーグで全て発揮された。直前に大きく変わった戦術や、慣れないポジションや、レギュラーとサブの入れ替えは、おそらく「戦って勝つ」というチームの思いの前に、全てが枝葉末節になったのだろう。そしてSAMURAI BLUEは、これまでの日本のW杯史で見せたことのないようなシビアな戦いを強いてカメルーンに勝利し、オランダに惜敗し、岡田ジャパン以降で最高の戦いをしてデンマークに快勝し、そして武運つたなく、パラグアイの前に散った。 もちろん、一つ一つの場面では誰の働きがどうだったとか、戦術的にどうだったとか、そういう話は出来るだろう。それについてはきちんと分析されるべきである。しかしそんなことより、サッカーというスポーツで一番必要な物はなんなのか、を彼らは見せてくれたと思う。それはおそらく、チームワークとかそんなありきたりの言葉で表現できるものではない、しかし南アフリカW杯の日本代表の戦いを見た人は、間違いなくその「何か」を感じることが出来たと思う。そして、今大会の他のチームを見たときに、その「何か」を感じられるチームは実はそう多くは無いとも感じる。少なくとも、日本代表ほど強くその存在を感じさせたチームは、片手で数えられるほどだろう。 2010年の南アフリカで、日本サッカーが何かを得て、次への糧とするならば、現実的な戦術やPK戦の厳しさなどではなく、その「ありきたりな言葉では表せない何か」ではないだろうか。岡田監督はデンマーク戦後「我々はサッカーがチームスポーツであると証明しようとやっている」と言っていた。きっと、その「何か」は日本代表がこの4年間目指してきた「日本人らしいサッカー」の、かけがえのない一つの軸なのだと思う。日本のサッカーがある限り、それは継続されなければならない。 PR 2chをやってるみなさんにはおなじみの切込隊長…って最近になって2ch見始めた人とかはおなじみじゃないよな。俺にとってはおなじみなんだが。最近では(最近でもねえけど)ひろゆきに勝訴したことが有名である。ひろゆきが珍しく裁判でたけどやっぱり負けたって奴。 まあ前置きはどうでもいい、その切込隊長はサッカー観戦素人であり、そんなでも日本代表の快進撃もあってか今回のW杯を見ているのである。んで見ていたところいろんな疑問が浮かんできたらしくて、なかなか面白かったのでそれに答えてみることにするのである。切込隊長と同じく、サッカー観戦素人の方の疑問解決の一助となれば幸いである。 切込隊長の疑問が書いてあるブログはこちら→サッカー観戦が初心者すぎて何を質問すればいいのかすら分からない んじゃとりあえず上からひとつずつ。質問は原文のまま引用させてもらいます。 Q,「なんとかかんとかが組織的サッカーだから強い、って言うけど、 一人のボールを持ってる人に組織的に動くってことは二人以上張り付くわけだから、 相手より二倍消耗するから弱いんじゃないの?」 これは素朴な疑問だがいきなり難しい話をしなければいけない。詳しく説明しようと思えばサッカーの守備の歴史とかそんなところから始めなきゃいけないところなんだが、まあ結構はしょって説明する。 まず大前提として、2倍は消耗しない。1人に2人付くからと言って、2倍走らなきゃいけないわけではない。 ただそれはあくまで「ボールが奪えたら」の話であって、ボールが奪えない場合はそりゃ走らされるので疲れる。パスやドリブルが正確な選手が多数いるチーム(例えばアルゼンチンやブラジル)からボールを奪うのは難しく、そうすると走らされるので、2倍とは言わなくても相当疲れる。 組織的なサッカーをしていると(適切なポジションに選手がいると、ということとほぼ同義)、あまり走らなくても1人に対して2人が付きやすいように初期設定のフォーメーションは設定してある。 つまりそれを崩すのには、基本的にはどこかで「組織を超越した個の力」が必要となってくる。 Q、「最初のフォーメーションがどうとか書いてて、4-4-2とかいうけど、DFの人やGKがシュートしてもいいんでしょ? 消耗しそうなポジションはバレーボールみたいにローテーションすれば疲れないんじゃないの?」 もちろん誰がシュートしても良い。ローテーションってのは例えばサイドの選手が真ん中に行ったり真ん中の選手がサイドになったりとかそういうことだろうか。それは選手の特性があるからそう簡単なことではない。もちろん複数ポジションこなせる選手はいて(ポリバレントな選手、と呼ばれる)、交代枠が3人のサッカーでは重宝される。野球でいえば故・キムタクみたいな選手。 Q,「相手の空いているスペースにパスを入れて云々って言うけど、ボールに向かって常にスペースは閉じられているわけだから、相手の後方にスペースが空いてもそこに人を送り込んだら自陣のスペースが空くんじゃね? しかも、自チームがボール持ってるんだからスペース埋める奴が一人少ないわけだし。」 コレは簡単に答えれば、その通り。だけど、リスクを犯さなければゴールは奪えないのです。お互いスペースを気にして引きこもってれば0-0にはなるかもしれないけど、勝たなければいけないのだから。 Q、「なんかGKがぽかーんと遠くに蹴ってみんなへディングしてるけど、ヘディング後とかって結構な割合ボールが相手ボールになっちゃうんだが、あれでいいのか?」 それを嫌って近くにいるDFにパスするチームもありますね(バルセロナとか)。ただ、相手ボールになったとしても、相手のトラップ間際にボールを奪えれば途端にチャンスになりますし、自分たちの守備陣がひと息つくために相手陣へロングボールを蹴ることもよくあります。もちろんマイボールに出来れば言うこと無しです。 Q,「競り合ってヘディングしてるときとか、なんかラリアット食らわせてる選手がいるんだが、あれは戦術か何かか。」 いえ、ファールです。下手すりゃレッドカードがでます。 でも、相手を高く飛ばせないために手を広げて飛ぶのはよくあることで、それが相手に当たっている場合がほとんどです。 Q、「なんか本田△とかみんな書いてるけど、本田が担当しているのは最終工程であって、道中を埋めてる選手のほうが偉いんじゃないの? やっぱり本田じゃなきゃできない何かがあるのかな。観ていて良く分からん。偶然そこにおっただけと違うの?」 それはおっしゃるとおりです。本田もエライし途中の選手もエライ。ただ日本代表はこれまでその最終工程をちゃんと決められる選手が少なかったので、そのせいもあるのではないでしょうか。 長いことブログ放置しておりましたが、このタイミングを待っていましたよ僕は。 勝ったどおおおおおおお ああ気持ちイイ。岡田ジャパンをボロカスに叩いていたスポーツライターどもざまあみやがれ。 みなさんがご覧になっていたこういう試合でこそ、試合の流れなんかをほとんど書くことなくちゃんと思ったことを書けるのですから、大事にしないとねw では、歴史的アウェー初勝利の勝因を考えてみよう。考えてサッカーを見ることで、サッカーを見る目が一層進歩する、と僕は思う。 まず、この試合のスタメンを見たときに、注目すべきだったことは本田のワントップと表記されていたこと。しかしこれ自体が岡田監督の罠であったことは言うまでもない、彼はFWなどではなかったのだ。本田の試合後のコメントがそれを物語る。 「ストライカー的なことはできない。できること、相手の嫌なことをやろう」 つまり本田はワントップの位置に配置されたように「フォーメーション図で書かれた」だけであって 実際は攻撃的なMFの役割を果たしていた。その代わり、両サイドの大久保、松井。この2人が相手のサイドを押し込み、大久保にいたっては中央に入ってきてCFになるという動きまでしたのである。 図に表すとこういう事だ… 『テレビなどのフォーメーション図(中盤より前)』 本田 大久保 松井 遠藤 長谷部 阿部 『実際にピッチ上で展開された様子』 大久保 松井 本田 遠藤 長谷部 阿部 このやり方がうまいことハマった。守備にも攻撃にも。これが最大の勝因である。 まず、本田がボールを持てた。先に対戦したコートジボワールや韓国なんかは、本田がボールをもったら2人で潰しに来た。それは本田が最初からトップ下の位置にいたからであり、ボランチとセンターバックが彼をサンドイッチにするという明確なボールの取り所を予め考えることが出来たからである。 ところが今回本田はFWの位置にいる「はず」だった。実際にFWの位置にいれば、カメルーンのセンターバックはきちんと対応したであろう。ところが本田はそこにいなかったのである。サイドに流れたり、センターサークル付近にいたり、少なくともセンターフォワードはしていなかった。 いるはずのやつがいないことほど守備からすれば厄介なことはない。本田が「ストライカーは出来ないから自分のプレーをしよう」とFWの位置にいなくなったことが、日本の決して多くはない攻撃チャンスをかなり効率的なものにした。そして本田は相手にとって一番危険なバイタルエリアでボールを持つことに成功した。 次に。相手のサイドバックがあまり攻撃参加出来なかった。カメルーンの右サイドバックはエムビアという本来はボランチの選手で(最後の方でバーに当たる強烈なシュートを打ったのも彼)、左サイドはアッスーエコトというプレミアでバリバリやってるSBなんだけれども、この2人があまり日本の脅威とならなかった。 なぜか。それは松井と大久保がドリブルが出来る選手であり、それで突破されることを恐れた相手を押し下げたからである。 そしてこのSBを制圧したことで、右のウイングに入っていたエトーもほとんど孤立してしまった。まともにやったら日本人3人くらいなら軽くぶっちぎるであろう(実際1回そんなシーンはあった)えトートは言え、まともなパスがこないなら活躍出来るわけがない。これでカメルーンの攻撃の威力は半分は消えたと言っても良かった。 それでも左サイドのアッスーエコトなんかはさすがプレミア選手であり、なんども日本の右サイドを突破してきたが(ただ効果的だったかどうかは別だと思う)、ここで岡田ジャパンの狙い、勝因その2が炸裂する。 それは「相手の左サイド(日本の右サイド)を徹底して狙った」こと。カメルーンの選手たちは、「日本の右サイドは多少守備が甘いからこっちからなら多少攻撃出来る」と思っていただろう。その裏を見事につくことが出来た。アッスーエコトは、ちょうどドイツ大会の三都主が強力になったようなSBで、クロスの精度やドリブルの能力は素晴らしいものがあったが、守備は多少お留守だった。日本はこの裏のスペースに再三再四、松井、本田、長谷部らが入り込んでいた。そして得点も、まずFWの位置にはいない本田が起点となり、サイドを高く保っていた松井が、このお留守なサイドからのクロスを上げ、生まれたのである。 このゴールのリプレイで、本田のすぐ後ろにいる選手の背番号を見て欲しい。9番である、つまりエトーだ。日本代表前監督のオシムは、こんなことを言っていたことがある。 ―「ロナウジーニョを走らせ、マークさせれば、もうロナウジーニョではなくなる」「ゴールから80m離れているロナウジーニョは怖くない」― オシムの言葉通り、「ゴールから80m離れたエトー」もロナウジーニョ同様に怖くもなんともないことが良くわかるw戻っただけで守備をしていないことが一目瞭然。 こうして見事に先制出来た日本代表だが、まだ時間は大いにあった。W杯ドイツ大会では1点リードで終盤まで行くも最後に3点ぶち込まれると言うコンサドーレかっ!つうような屈辱的な負け方をしたわけだが、ここで勝因3が出てきたから最後まで守り切ることが出来た。 それは集中力。日本代表はこの試合本当によく集中していた。 守備しなきゃいけない局面では。サイドハーフの選手(松井、大久保、矢野、岡崎)センタハーフの選手(遠藤、長谷部)、SBの選手(駒野、長友)と連携して、3対1の局面を作ることが出来ていた。まさにハエジャパン、目指していた守備の形である。さらに、試合の終盤になるに従って相手のロングボールが増えてきたが、これを中澤、闘莉王が懸命に競り、セカンドボールを駒野、松井、矢野、長谷部、阿部らが必死に奪い取っていた。 個の力で負けていても、しっかりと整備されたブロックの守備を崩すことが難しいのはサッカーでは知られたこと。日本は徐々に試合をクローズすることに成功した。 まとめると、日本がカメルーンに勝てた要因は 1、本田のワントップもどきにより本田がボールを持てたこと。 2、両サイドハーフが高い位置を取ったことにより相手のサイドバックが攻撃参加しにくかったこと。 3、攻撃時に相手の穴をしっかりと付くことが出来たこと。 4、守備は90分間集中出来、セカンドボールをあまり拾われなかったこと ということになる。 攻撃で策がハマり、守備は集中していたのだから、結果は極めて妥当なものだったと言える。 FC東京2-0川崎フロンターレ 得点:米本拓司(前半22分)、平山相太(後半14分) ■好試合だった 毎年思うことだが、ナビスコカップの決勝にハズレの試合はない。 タイトルマッチ、満員の聖地国立、リーグ戦も佳境と言う開催時期、気象条件(なぜか晴れが多い)、さまざまな条件が重なり合ってこそだと思うが、今年もすばらしい試合を見ることが出来た。17回目の多摩川クラシコ、熱戦を制したのはFC東京。 東京は日本代表の長友がまだ怪我から復帰してまもなく、本調子ではないということでベンチスタート。さらに、今年大活躍をした日本代表石川直宏も、前十字靭帯の損傷(でも思っていたより軽傷で本当に良かった)で、試合に出ることが出来ない。 このような状況もあったからなのか、序盤のペースを握ったのは川崎フロンターレだった。 中村憲剛からジュニーニョ、レナチーニョ、チョンテセという強力3トップ、そして飛び出す谷口、両サイドへのパスがガンガン通る。FC東京は平山が1本惜しいシュートを放ったくらいで、攻撃がなかなか形作れない。 そんな中で、とうとう川崎に決定的なチャンスが生まれる。前半19分、中村憲剛から飛び出した谷口への縦パス、そして谷口が折り返し、ジュニーニョが決定的なシュート!しかしこれを上へ外してしまう。そして、この決定的なチャンスを逸したあと、先制点は急にFC東京が奪ってしまう。思いがけない形で。 ■最初から軸は平山 今シーズン、FC東京のストライカーは石川であったり、カボレであったりし続けたわけだが、攻撃の軸は、平山のポストプレーにあるのではないかと感じている。今シーズン、明らかにこれまでより運動量が多く、かつ天性の高さと足元のキープ力を活かし、平山は前線でボールを収めつづけてきた。彼が後ろから来たボールをしっかりとキープし、そこに羽生、石川、カボレ、鈴木達也などというスピードあふれる選手たちが飛び出してくる、あるいは、梶山という前を向いてボールをしっかりキープでき、パスもシュートも選択できる司令塔からじっくりと攻撃を組み立てる。そういった攻撃がFC東京のリズムを作ってきたと5,6試合見た中では感じている。 前半24分の得点シーンで、平山はこの試合初めてと言ってもいいほど「ゆったりと」ボールを持つことが出来た。それまで平山、赤嶺がボールを持ったら激しく寄せてきた川崎守備陣がなぜか、そのときは後ろに引いてしまった。平山とその周りだけ、ほんとうにポッカリとスペースが空いてしまったのだ。そして、落ち着いて米本にボールが戻されると、まだ18歳になっていない高卒ルーキーはすばらしい弾丸ミドルを放ち、川島の手をはじいて、ネットが揺れた。 ■自分たちを見失った川崎、集中していた東京 まさに予想外で、起死回生とも言うべき得点だった。それまで、FC東京は完全に押されていた。ジュニーニョが決定機を外しても、まだ流れは川崎にあるはずだった。それだけ川崎のサッカーは機能していた。だが、このゴールを境に川崎は自分たちで崩れてしまった。攻撃は出来る、ボールも保持できている、しかしチャンスになっているか、相手にとって怖い攻撃になっているかといえば、そうでもない。ここまで勝ち進んできた選手たちが集中して守れば、きちんと守ることが出来るだろう攻撃に終始してしまった。試合後の関塚監督も次のように述べている。 「先制点を奪われた後の落ち着きというか、自分たちのしっかりとしたサッカーをいかに90分できるかというところで、我々の悪さというか弱点が出てしまった。もっとシンプルにサイドからボールを動かしていけばいいところを、強引な形が多くなってしまい、最後のところで切り崩せなかった。その辺をもっとチームとして立て直さないといけない。」 http://www.jsgoal.jp/news/jsgoal/00092026.html ジュニーニョがドリブルでしかける、憲剛の縦パスにチョンテセが、谷口が飛び出す。どれも怖い攻撃といえば怖い攻撃だが、単発で終わってしまっていた。点を取るんだ、という気持ちが強すぎたのか、前に前に、ただ突進するような攻撃で、川崎には柔軟性がなかった。 一方で、FC東京は集中していた。FW2人はしっかりと走ってコースを切り、MFとDFの8人はブロックを作って相手を跳ね返し、そしてGK権田がすばらしい活躍を見せていた。相手が自分たちのサッカーを出来ないとはいえ、圧倒的な攻勢でしかけてきたときに、セットプレー、あるいはミドルシュートをギリギリのところで防いだのは権田だった。そして、奪った後にカウンターを狙う姿勢、セカンドボールを拾う、そういったハードワークの部分でFC東京は川崎を凌駕していた。 自分たちでボールを動かして攻撃するFC東京にとって、このような「我慢のサッカー」的な試合展開と言うのは、決して理想的なものではないかもしれない。しかし石川や長友、カボレと言った攻撃面で重要な選手をさまざまな事情で欠いた東京がしっかりと勝つためにはふさわしいサッカーであり、全員の気持ちが統一されていた。川崎と違って、やることが明確になっていたのだ。 ■2点目で勝負あった 前半を終え、ハーフタイムを過ぎても、まったく流れは変わらなかった。攻撃する川崎、守るFC東京。しかし川崎の攻撃は相変わらずの単発で、怖くない攻撃が続く。そして、この試合を象徴するような形で試合を決定付ける2点目が決まった。 相手のセットプレーを抑えてすぐにカウンター。鈴木達也と平山の2人が前がかりになった川崎のDFラインを突く。鈴木達也が速いドリブルで持ち込んで、平山へクロスを上げると平山はへディングシュートを川崎ゴールに流し込む。2-0。 これで8割方勝負は決まった。あとはFC東京がいかに、前線から少しずつ相手のスペースを消し、そしてカウンターをしかけながら、これまで継続してきた集中した守備を続けられるかがポイントとなった。東京・城福監督は2点目を取ってすぐに赤嶺に替えて故障明けの長友を投入。彼の突破力で川崎にカウンターと言う武器をちらつかせながら、守備力を上げ、そして平松、佐原の投入で試合をクローズさせようとした。 一方の関塚監督は、やや交代が遅れたかもしれない。最初のカードを切ったのは後半25分。3バックにするとか、いろいろな選択肢があったとは思うが、チームとしての形を崩さずに戦った。そうなると、このような試合で相手の集中した守備を崩せるのは中村憲剛、ジュニーニョといった「違いを作れる選手」なのだが、中村憲剛の決定的なシュートは大当たりの権田に阻まれ、ジュニーニョはドリブルで2人3人を抜いてクロスを上げたり、シュートを打ったりするものの、やはり強引に行き過ぎていることもあって東京の守りを崩すまでには至らなかった。 そして試合終了。FC東京が5年ぶり2度目のナビスコカップ制覇を成し遂げた。 ■川崎がタイトルを取るために乗り越えねばならない大きなステップ シュート数10対17、コーナーキック数4対12、フリーキック数12対21、ゴールキック数14対6。(全てFC東京対川崎Fの順)これらの数字を見ても、いかに川崎が攻勢な試合だったかと言うのはよく わかるだろう。それでも勝てなかった。この試合に限って言えば、何よりもジュニーニョが決定的な場面を外したのも大きかったし、東京のGK権田はかなり当たっていた。しかし、川崎がここ一番で毎回タイトルを取れていないのは、やはり落ち着き、自信が足りないのだろうと思う。 試合の中で、不運とも言える失点を喫することはある。しかし、90分中残り5分の時点で得点されたのならともかく、まだ前半の半ばともいえる時間帯で失点しても、「自分たちの方が強いのだから、残り時間で追いつけばよいし、普通にやれば追いつけるはずだ」というような攻撃が出来るチームが本当に強い。強いときの鹿島、ガンバ、浦和など、過去にチャンピオンに輝いたチームはそのような試合をして、きっちりと勝っていく。 川崎は未だに3大タイトルを取れていないこともあるのか、そういう試合運びはあまり出来ていないように思える。自分たちの流れでグワッと持っていけるときは強いが、それは相撲で言えば出る出る出島で押し出しが強い、というような型を持っているに過ぎない。もう一段上に行く、タイトルを取るには、横綱相撲がとれるような、じっくりじわじわと攻撃するという落ち着きと、それを生み出す自信が何よりも必要なのだと思う。 日本代表5-0トーゴ 得点:岡崎慎司(前半5分)、岡崎慎司(前半8分)、森本貴幸(前半11分)、岡崎慎司(後半20分)、本田圭佑(後半40分) ■相手が酷すぎた 圧勝したというのに、あんな相手ならしない方がいいのである、と言わなければならない。 それこそ流通経済大学かベガルタ仙台のサテライトでも連れてきた方がはるかにマシだったであろう。少なくとも「強化」になったかどうかははなはだ疑問である。 大体このトーゴ戦、本来は九州石油ドームで行われるはずだったのだが、あそこの芝が本当にとんでもないことになっているせいで(おかげで?)、日本代表にとってろくな思い出のない僻地・宮城スタジアムで行われることになったのである。圧勝したとはいえ、やはりこのスタジアムの日本代表にろくな試合はないのかもしれない。 とはいえ、日本代表の攻撃は序盤から見事なものであった。相手のプレスの緩さもあって、ボールも回るし人も明らかにトーゴより走っている。そしてサイドから低くて速いクロス、という岡田監督の目指している形はあっという間に実を結んだ。5分、8分とまさに練習通りのような形で岡崎が得点を重ねる。そして11分には森本が代表初ゴール。これも森本のキープ力、反転して振り抜く力で取った得点とはいえ、長友から低くて速いクロスが入ってきたところからの得点であり、日本代表の前半の3点は全て同じ形の得点だと言っても良い。 それにしても、全く同じ形であるのにまるで対応できていないトーゴは酷かった。このあたりで5-0くらいで勝たなければダメだなと思ったほどである。 しかしこのあと、日本の攻撃は停滞してしまう。トーゴのあまりの酷さにつられてしまったのか、日本代表もつまらないミスが増えていく。パスミス、トラップミス・・・そのような空気を変えようと、闘莉王が攻撃参加したりするのだが(こういうとき彼のような選手がいて良かったと思う)悪い流れを断ち切ることは出来なかった。しかし、この日本の悪い流れに乗じて攻撃を仕掛けることすらできないのがこの日のトーゴであり(通常であれば絶対にそんなことはないはずだ)、それが前半の後ろ20分を非常につまらないものにさせた。 ■強引に試合を動かしていく本田 この悪い流れを断ち切るためには、フレッシュな選手、そして試合出場に飢えている、出場機会の少ない選手を入れるべきだと考えながら前半の終わりの方を見ていたのだが、日本は後半開始から3人を入れ替えた。といっても、出場機会のまだ少ない寿人や石川、岩下らを入れたわけではなく、本田と内田、大久保を投入してきた。 本田については以前から感じていることだが、彼は彼のポテンシャルとモチベーションの高さと、個としての限界を示し続ける試合が続いている。足下にボールを持って、自分がマッチアップした相手より良ければいいプレーをするし、悪ければ簡単にボールを取られてしまう。俊輔なり、遠藤なりは自分のマッチアップしている選手に対して必ずしも力関係が上でなくても、悪いなりのプレーということが出来る。簡単にはたく、自分がおとりになって別の選手を活かす。自分がポジショニングを変えることによってスペースを作る。そういったプレーが出来る。本田は今のところそういうプレーはほとんど見せない。彼の元で自分は活きても他は活きない。経験によるものなのかもしれないが。 しかし彼はそれを補えるだけのリスキーなプレーを選択することが出来る。前に2人いても、強引に突っ込んでいける選手だ。W杯本番、日本よりも対等以上の力を持つチームが多い中で、彼のような「不利な状況を強引に打開できる選手」というのは絶対に必要な存在にはなる。 この日の日本代表の悪い流れを、強引に打開しようとしていたのも本田だった。シュートを打つ打つ。しかし精度を欠いている。ただ、精度は欠いたかもしれないが、シュートで終わって、ゴールを決めるんだ、攻撃するんだ、というベンチの意図を最も表していたのも本田なのであった。そうこうしているうちに岡崎が見事なヘディングでハットトリックを決める。後半27分には俊輔が「今までニア、ニアと来ていたからファーサイドを狙ってみた」(そういうのが本田には足りないのだよ!)という経験を感じさせる見事なクロスをあげ、そこにいた本田がフリーでヘディングシュート。しかしこれもまたポストに阻まれる・・・。とはいえ、前半の終わり頃に見られた停滞感はもうなかった。主体的な攻撃が出来るようになったのは、本田をはじめとする交代選手のおかげである。 ■選手層は厚くなった この押せども押せども点が取れない状況を克服したのは、またしても交代選手であった。今野と石川。憲剛と代わって入った今野は、本職のボランチ(といってもFC東京ではもうずっとセンターバックだが)で、得意のボール狩りを見せて、セカンドボールを拾っていく。代表に一応呼ばれ続けているとはいえ、なかなか出番がない今野すら、しっかりとチェイス、プレス、そしてそこからの展開というチームコンセプトを全うする動きが出来ているのは非常に良いことだと思う。 そして後半37分に交代した石川は、いきなり持ち味を発揮する。左サイドでボールを受け、縦にドリブル。そして中に正確なクロス。中に詰めていた大久保と佐藤寿人、そしてそのこぼれ球を、ようやく、本田が押し込んで5点目。今年、石川があまりに調子がよいので、コンサ以外の試合としては珍しく4試合も現地観戦しているのだが、どの試合でも言えることは、ドリブルからのシュート、クロスが非常にタイミングが良く、精度が高いこと。そして、その状況判断力が非常に優れていることだ。縦が空いていれば縦に突破してクロスをあげることが出来るし、その縦を警戒すると今度は中に入ってきて良いシュートを打つ。相手の裏を取る、という形が常に出来ているので、守る方としては非常に守りにくいと思うし、実際に効果的な攻撃につながる。試合後の会見で岡田監督は「あそこで勝負してクロスを上げる。これはなかなか、ほかにできる選手がいない。」と言っているが、これで石川は相手を打開できないときのジョーカーとしての地位を得たのではないかと思う。無論、松井との競争はあるのだが。 石川に限らず、森本、本田、佐藤寿人など新しい選手は当初の岡田監督のもくろみ通り、とある局面で使える選手たちとしての働きを見せてくれた。惜しむらくは、守備面で岩下が呼ばれたにもかかわらず、そのような一芸を発揮する機会すら与えられなかったことである。しかし、日本代表の選手層自体は間違いなく厚くなっていると感じることの出来た後半だった。 ■歯ごたえのない相手とやって得たもの 歯ごたえのない相手ばかりだったとはいえ、この10月の3試合で6点、2点、5点の併せて13点を取り、失点は一つもなかったことは日本代表の「練習試合」としてはすばらしいものがあったと言える。どんな相手であれ、5点以上を取って勝ち、かつ相手を無失点に押さえることはモチベーション的にも難しいものがある。そのあたりの気のゆるみをあまり見せずに、目指すチームの攻撃の形を確認できたことは非常に良かった。では、課題は?相手にシュートを全く打たせない試合が続いた。このような相手では理想的な攻撃パターンのシミュレートは出来ても、攻守の切り替え、相手に押されている場合の守備や攻撃といった場合のことは考えることが出来ない。 W杯本番では相手も強い。オランダ遠征でわかったように、こちらが押していても、それを90分続けることは実力的な意味で不可能だし、相手はそのワンチャンスを決めてくることの出来る個の力を持っているのが常である。あと8ヶ月後に迫ったW杯に向けて、選手のそろった日本代表がすべきことは、強い相手の攻撃をいかに防いで、その中で得点を取って勝っていくという力を見せられるかである。そのためにはアウェイに打って出て、強豪・中堅国と戦っていく必要はもっとあると思う。 Copyright © [ コンサといっしょ(サッカー観戦記) ] All Rights Reserved. http://withconsadole.blog.shinobi.jp/ |